2022年10月05日 14:00

【矢野経済研究所プレスリリース】パチンコ関連機器市場に関する調査を実施(2022年)~2021年度の市場規模は前年度比124.3%の7,387億円、新規則機移行に伴う遊技機の入替が市場規模拡大に寄与~

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株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内のパチンコ関連機器市場を調査し、現況、製品セグメント別の市場規模、メーカー動向、将来展望を明らかにした。

1.市場概況

2021年度のパチンコ関連機器(パチンコ機、パチスロ機、周辺設備機器)の市場規模は7,387億円(メーカー売上金額ベース)となり、前年度比で124.3%、1,444億円のプラスとなった。大分類別(パチンコ機、パチスロ機、周辺設備機器)ではパチンコ機の市場規模は4,343億円(前年度比117.6%)、パチスロ機は2,592億円(同136.6%)、周辺設備機器は451億円(同128.8%)となり、何れも前年度から拡大した。

2018年2月の規則改正以降、射幸性に勝る旧規則機と新規則機が併設されることによって新たに導入される新規則機の稼働実績が思うように伸びないこと、折からのパチンコホール全体の稼働低迷、収益性の高い旧規則機を設置可能な期限ギリギリまで使用したいパチンコホール側の事情が重なり、2020年度の遊技機販売は2019年度に引き続き低迷したが、2021年度は2022年1月末を期限とする新規則機への移行期限に伴って遊技機の入替特需が発生し、市場規模の拡大に繋がった。
一方、周辺設備機器は前年度比128.8%となったものの、コロナ禍前の2019年度比では63.1%に留まった。従前からのパチンコホール経営企業の業績不振から、新規出店やリニューアル等での需要が激減していることに加え、コロナ禍による収益源の影響も蓄積しており、設備投資に対して慎重な姿勢が継続している。パチンコホール経営企業の新規出店やリニューアル、経年劣化によるリプレイスが周辺設備機器の需要契機となるが、2021年度のパチンコホールの新規出店は96店舗と100店舗を割り込むまで減少しており、その内居抜き出店(概ね既存設備を使用するため新規設備機器が導入されない)が86店舗を占めている。パチンコホール経営企業の購買意欲の減退以前に、主要な商機となる新規出店が低迷している点も、周辺設備機器市場の本格的な回復に至らない要因となっている。
2.注目トピック~遊技機のEC販売が拡大の兆し、遊技機メーカーは本格的に方針を検討する段階

遊技機の販売に関してEC販売が拡大する兆しが表れている。EC販売で先行するサミーは、2019年12月にホール関係者専用サイト「Sammy Plus」内に製品ECサイトの開設を発表した。2020年8月には同サイトの運営をサミーネットワークスに移管してサイト名称を「777EC(スリーセブン・イーシー)」と改め、遊技機のEC販売を開始した。「777EC」は遊技機に関する販売からアフターサービスまで24時間365日オンラインで受け付け可能なワンストップサービスを提供し、他の遊技機メーカーにも利用を呼びかけてオンライン時代の総合プラットフォームを目指している。
遊技機メーカー各社は、サミーネットワークスのECサイトの動向を注視して自社の動きを決めかねていたが、2022年7月に平和が同プラットフォームに参画することを発表したことで、様子見していたその他の遊技機メーカーも本格的に自社の方針を検討する段階に来たものと思われる。更に、2022年8月にはニューギングループが独自ECサイト「ニューギン@(アッ、と)」を発表し、部品注文、保証書のダウンロードなどのサービス提供を開始した。また、豊丸産業も2020年12月より同社のオリジナルECサイト「とよマーケット」にて遊技機の販売を開始している。

遊技機産業にEC販売は向かないと断言する遊技機メーカーもあるなか、世間一般の流れと同様に、にわかに業界もEC販売へとシフトする可能性が出てきている。営業マンを介した人的なネゴシエーションが遊技機販売には重要であることは実態であろうが、パチンコホールが “お付き合い” での遊技機購入が可能であった往時とは異なり、良い遊技機を必要なだけ購入することが当たり前の現在は、EC販売の下地が整い始めたとも考えられる。

3.将来展望

次世代遊技機であるスマート遊技機(スマートパチンコ・スマートパチスロ※)の仕様が定まり、2022年11月よりスマートパチスロが、2023年3月にはスマートパチンコの導入が予定されている。新規則機への移行が完了し、2021年度の遊技機市場拡大に寄与した入替特需は終焉したが、このスマート遊技機が新たな遊技機需要を喚起することが期待される。特に6号機の低迷が続いていたパチスロ機においては、業績の改善に繋がる遊技機を求める意向は強く、先行して導入された6.5号機が良好な稼働でスタートしたこともあって、さらにポテンシャルが高いと予想されるスマートパチスロにも期待がかかる。

スマート遊技機の導入には専用ユニットをはじめとして多大な設備投資が必要になるため、投資余力がある大手パチンコホール経営企業を中心に導入が進んでいくと考えられるが、部材の調達難から専用ユニットの供給に限りがあり、導入初期にはパチンコホールの需要を満たせない状況となる可能性がある。また、導入工事を行う人工も不足しており、通常の新機種導入の様にリリース日に多くのホールで同時に導入されることは困難と想定される。但し、パチンコホール側からすると、スマート遊技機の導入が遅れることが商圏での序列に影響を与える可能性も否めない。また、スマート遊技機の導入にあたっては、パチンコホールと遊技機メーカーだけでなく、各周辺設備機器メーカーとも綿密な調整が必要になる。
一方で、スマート遊技機が導入されることで不要となる設備機器もあり、玉・メダル補給システムや計数機がこれに該当する。スマート遊技機の導入が順調に進んだとしても、当面は既存遊技機と併設されるために一定の需要は残るが、スマート遊技機のシェア拡大に応じてこれらの設備機器は徐々にパチンコホールから姿を消していき、ホールの設備機器構成が変化していくことになる。

※「スマートパチンコ」遊技機の内部に遊技球を封入して循環させることで、遊技球に直接触れることなく遊技できるパチンコ機。
「スマートパチスロ」遊技メダルを電子データ化することで、物理的な遊技メダルを使用せずに遊技できるパチスロ機。
「スマートパチンコ」「スマートパチスロ」共に、内規変更によって従来機と比較してスペック設計の幅が広がり、多様なゲーム性を持つ遊技機の開発が可能になる。

※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/3085

調査要綱
1.調査期間: 2022年6月~8月
2.調査対象: 遊技機(パチンコ機、パチスロ機)メーカー、周辺設備機器メーカーほか
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年09月15日

お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所
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会社概要

商号
株式会社矢野経済研究所(カブシキガイシャヤノケイザイケンキュウジョ)
代表者
水越 孝(ミズコシ タカシ)
所在地
〒164-8620
東京都中野区本町2-46-2 中野坂上セントラルビル
TEL
03-5371-6900
業種
コンサルティング・シンクタンク
上場先
未上場
会社HP
https://www.yano.co.jp/

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