株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内の医用画像関連システム市場を調査し、セグメント別の市場動向、参入企業動向、将来展望を明らかにいたしました。
1.市場概況
本調査では、主に病院で使用される医用画像関連システムのうち、Radiology PACS(Picture Archive and Communication Systems)、Cardiology PACS、3Dワークステーション、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)・治療RIS、検像システム(Quality Assurance System)、線量管理システム(Dose Management System)を対象として、市場規模を算出した。
医用画像関連システムの中心となるRadiology PACSは、2000年代初頭から医用画像のフィルムレス化が促進され、中規模(病床数200床以上)の病院を中心に本格的な導入が進んだ。2010年代半ば以降は新規導入からリプレイスへ移行しており、その後病院のシステム投資等の抑制などで更新(リプレイス)期間が長期化し、ゆるやかなマイナス成長での推移が続いている。
このような中、2020年度の医用画像関連システムの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比5.8%減の561億7,300万円と推計した。減少要因としては、2019年度に消費増税(2019年10月)前の駆け込み需要がみられたこと、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりシステム導入・更新の後ろ倒しがみられたことが挙げられる。
2.注目トピック~線量管理システムの需要は一巡したと推測される
線量管理システムとは、各X線装置から照射されるX線量を記録・管理し、患者単位や検査単位での線量コントロールを支援するシステムである。2018年6月、厚生労働省の「医療放射線の適正管理に関する検討会」において、医療被曝の線量が特に高い放射線診療に対する線量の管理・記録の必要性から、同省より線量の記録や医療従事者向けの研修などを、2020年4月より義務化する方針が示された。これにより線量記録システムの導入対象が加算取得施設から大幅に拡大し、また2018年~2019年にかけて、医用画像関連システムメーカーやモダリティメーカー等多数の新規参入があったことで市場が本格的に立ち上がった。
以上のような背景から、線量管理システム市場は2018年度以降から2020年度にかけて高い成長率で推移してきた。しかしながら、メーカー各社の2021年度計画は減少に転じており、2020年4月からの義務化対応のための需要は一巡したと推測される。
3.将来展望
2021年度の医用画像関連システムの市場規模は、消費増税の駆け込み需要の反動減やコロナ禍の影響から回復し、前年度比3.3%増の580億1,900万円と予測する。
2022年度以降は、医用画像関連システムの導入がほぼ完了している中規模(病床数200床以上)の病院ではリプレイスの長期化や導入単価の下落、200床未満の中小規模施設では導入費用を抑えたクラウドPACSの普及などにより、市場規模は横ばいから微減で推移する見通しである。
そのような中、医用画像関連システムベンダーの中にはAI関連サービスやPHRサービス(医用画像を含む病院内の医療情報等を、患者がスマートフォン等を通じて参照できるサービス)など、多様な医用画像関連ソリューションがみられるようになってきており、この動向は今後加速すると予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2934
調査要綱
1.調査期間: 2021年12月~2022年2月
2.調査対象: 医用画像関連システム・機器の国内メーカーおよび輸入製品の総発売元
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(リモート含む)、ならびに電話取材調査併用
4.発刊日:2022年02月28日
お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
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1.市場概況
本調査では、主に病院で使用される医用画像関連システムのうち、Radiology PACS(Picture Archive and Communication Systems)、Cardiology PACS、3Dワークステーション、放射線情報システム(RIS:Radiology Information System)・治療RIS、検像システム(Quality Assurance System)、線量管理システム(Dose Management System)を対象として、市場規模を算出した。
医用画像関連システムの中心となるRadiology PACSは、2000年代初頭から医用画像のフィルムレス化が促進され、中規模(病床数200床以上)の病院を中心に本格的な導入が進んだ。2010年代半ば以降は新規導入からリプレイスへ移行しており、その後病院のシステム投資等の抑制などで更新(リプレイス)期間が長期化し、ゆるやかなマイナス成長での推移が続いている。
このような中、2020年度の医用画像関連システムの市場規模(事業者売上高ベース)は、前年度比5.8%減の561億7,300万円と推計した。減少要因としては、2019年度に消費増税(2019年10月)前の駆け込み需要がみられたこと、2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響によりシステム導入・更新の後ろ倒しがみられたことが挙げられる。
2.注目トピック~線量管理システムの需要は一巡したと推測される
線量管理システムとは、各X線装置から照射されるX線量を記録・管理し、患者単位や検査単位での線量コントロールを支援するシステムである。2018年6月、厚生労働省の「医療放射線の適正管理に関する検討会」において、医療被曝の線量が特に高い放射線診療に対する線量の管理・記録の必要性から、同省より線量の記録や医療従事者向けの研修などを、2020年4月より義務化する方針が示された。これにより線量記録システムの導入対象が加算取得施設から大幅に拡大し、また2018年~2019年にかけて、医用画像関連システムメーカーやモダリティメーカー等多数の新規参入があったことで市場が本格的に立ち上がった。
以上のような背景から、線量管理システム市場は2018年度以降から2020年度にかけて高い成長率で推移してきた。しかしながら、メーカー各社の2021年度計画は減少に転じており、2020年4月からの義務化対応のための需要は一巡したと推測される。
3.将来展望
2021年度の医用画像関連システムの市場規模は、消費増税の駆け込み需要の反動減やコロナ禍の影響から回復し、前年度比3.3%増の580億1,900万円と予測する。
2022年度以降は、医用画像関連システムの導入がほぼ完了している中規模(病床数200床以上)の病院ではリプレイスの長期化や導入単価の下落、200床未満の中小規模施設では導入費用を抑えたクラウドPACSの普及などにより、市場規模は横ばいから微減で推移する見通しである。
そのような中、医用画像関連システムベンダーの中にはAI関連サービスやPHRサービス(医用画像を含む病院内の医療情報等を、患者がスマートフォン等を通じて参照できるサービス)など、多様な医用画像関連ソリューションがみられるようになってきており、この動向は今後加速すると予測する。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2934
調査要綱
1.調査期間: 2021年12月~2022年2月
2.調査対象: 医用画像関連システム・機器の国内メーカーおよび輸入製品の総発売元
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(リモート含む)、ならびに電話取材調査併用
4.発刊日:2022年02月28日
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