株式会社矢野経済研究所(代表取締役社長:水越孝)は、国内ブロックチェーン活用サービス市場を調査し、現況や領域別の動向、活用事例および将来展望を明らかにいたしました。
1.市場概況
2021年度のブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は783億3,000万円となる見込みである。2019年度までは、大手企業を中心にブロックチェーンの特性などを学んでいた最初期のフェーズにあった。実際に実証実験の多くが「お試し」の状況にあり、試行錯誤をしながらブロックチェーンに係る知見を吸収してきたため、2019年度の市場規模は171億8,000万円に留まった。
一方、前年までのブロックチェーンの特性や適用先に関する知見などの蓄積を受けて、実証実験の質が変化してきており、お試しから効果検証に向けて、より本番環境での運用を想定した検証へと進む大手事業者が出てきている。
導入領域別では、特に商流管理やデジタルIDをはじめとした認証を筆頭に、非金融領域の存在感が徐々に高まりをみせており、大手企業を中心に自治体や業界団体などでも積極的に実証実験に取組んでいる。特に2021年度からはトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)や認証、NFT※を中心にブロックチェーンの活用が広がっている。
※NFT・・・Non-Fungible Tokenの略。ブロックチェーン上に記録された代替不可能なデジタル資産の所有権をさす。現在はゲームのキャラクターやスポーツ選手などのデジタルトレーディングカード、デジタルアートなど、コンテンツ分野での活用が目立つ。
2.注目トピック~ブロックチェーン活用は(1)トレーサビリティ、(2)認証、(3)NFTの3領域が牽引役
ブロックチェーン活用に際して、(1)トレーサビリティや(2)認証、(3)NFTでの活用が牽引役になるとみる。まずトレーサビリティでは、複数プレイヤーが関わるため、ブロックチェーンの強みを活かせる最適な領域である。事例も化粧品の商流管理や物流管理をはじめ、多くの領域で流通経路における透明性の確保や最終ユーザーの特定など、応用範囲が急速に広がってきている。また、地方において農作物の商流管理にブロックチェーンを活用した事例が複数出てきているほか、農林水産省によるスマートフードチェーンの取組みなど環境整備の動きもある。
また認証領域においても、マイナンバーカードとデジタルIDを紐づけた自治体の取組みが徐々に始まってきており、今後、他の自治体への広がりが期待される。また、大学の学位証明書などの電子化での活用も広がっていくと考える。特にペーパーレス化への移行やコロナ禍も相まって感染防止に向けた非接触・非対面への取組みは今後も導入の後押しとなるものとみる。
NFTの活用については、2021年度からNFTの急速な普及に伴い、特にゲーム業界において大手ゲームソフト会社を筆頭に、既存コンテンツを活用したNFTの提供などに取組んでいるほか、スポーツの領域でも選手のデジタル・トレーディングカードの発行を中心に事例が出てきている。なお現状、NFTは法的な枠組みが明確になっておらず、今後、一定金額以上の取引における本人確認の必要性などを含めた規制が入るものとみる。
3.将来展望
2025年度のブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は7,247億6,000万円に達すると予測する。2021年度から大手企業を中心にブロックチェーンの活用において普及期に突入し、2025年度には中堅企業や自治体においても普及期を迎えるとみられることから、効果検証から本番稼働に向けた案件が増えていくと考える。
領域の面でもトレーサビリティや認証に留まらず、住宅の賃貸契約と公共料金などとのデータ連携をブロックチェーン基盤で構築し、水道や電気の利用開始を入居時に可能にするなど、さまざまな領域へと広がりをみせていくものとみる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2914
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~2022年1月
2.調査対象: 国内のIT事業者、ブロックチェーン関連スタートアップ企業、ブロックチェーン活用企業・団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年01月28日
お問い合わせ
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株式会社矢野経済研究所 マーケティング本部 広報チーム
https://www.yano.co.jp/contact/contact.php/press
株式会社矢野経済研究所
https://www.yano.co.jp/
1.市場概況
2021年度のブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は783億3,000万円となる見込みである。2019年度までは、大手企業を中心にブロックチェーンの特性などを学んでいた最初期のフェーズにあった。実際に実証実験の多くが「お試し」の状況にあり、試行錯誤をしながらブロックチェーンに係る知見を吸収してきたため、2019年度の市場規模は171億8,000万円に留まった。
一方、前年までのブロックチェーンの特性や適用先に関する知見などの蓄積を受けて、実証実験の質が変化してきており、お試しから効果検証に向けて、より本番環境での運用を想定した検証へと進む大手事業者が出てきている。
導入領域別では、特に商流管理やデジタルIDをはじめとした認証を筆頭に、非金融領域の存在感が徐々に高まりをみせており、大手企業を中心に自治体や業界団体などでも積極的に実証実験に取組んでいる。特に2021年度からはトレーサビリティ(流通経路の追跡確認)や認証、NFT※を中心にブロックチェーンの活用が広がっている。
※NFT・・・Non-Fungible Tokenの略。ブロックチェーン上に記録された代替不可能なデジタル資産の所有権をさす。現在はゲームのキャラクターやスポーツ選手などのデジタルトレーディングカード、デジタルアートなど、コンテンツ分野での活用が目立つ。
2.注目トピック~ブロックチェーン活用は(1)トレーサビリティ、(2)認証、(3)NFTの3領域が牽引役
ブロックチェーン活用に際して、(1)トレーサビリティや(2)認証、(3)NFTでの活用が牽引役になるとみる。まずトレーサビリティでは、複数プレイヤーが関わるため、ブロックチェーンの強みを活かせる最適な領域である。事例も化粧品の商流管理や物流管理をはじめ、多くの領域で流通経路における透明性の確保や最終ユーザーの特定など、応用範囲が急速に広がってきている。また、地方において農作物の商流管理にブロックチェーンを活用した事例が複数出てきているほか、農林水産省によるスマートフードチェーンの取組みなど環境整備の動きもある。
また認証領域においても、マイナンバーカードとデジタルIDを紐づけた自治体の取組みが徐々に始まってきており、今後、他の自治体への広がりが期待される。また、大学の学位証明書などの電子化での活用も広がっていくと考える。特にペーパーレス化への移行やコロナ禍も相まって感染防止に向けた非接触・非対面への取組みは今後も導入の後押しとなるものとみる。
NFTの活用については、2021年度からNFTの急速な普及に伴い、特にゲーム業界において大手ゲームソフト会社を筆頭に、既存コンテンツを活用したNFTの提供などに取組んでいるほか、スポーツの領域でも選手のデジタル・トレーディングカードの発行を中心に事例が出てきている。なお現状、NFTは法的な枠組みが明確になっておらず、今後、一定金額以上の取引における本人確認の必要性などを含めた規制が入るものとみる。
3.将来展望
2025年度のブロックチェーン活用サービス市場規模(事業者売上高ベース)は7,247億6,000万円に達すると予測する。2021年度から大手企業を中心にブロックチェーンの活用において普及期に突入し、2025年度には中堅企業や自治体においても普及期を迎えるとみられることから、効果検証から本番稼働に向けた案件が増えていくと考える。
領域の面でもトレーサビリティや認証に留まらず、住宅の賃貸契約と公共料金などとのデータ連携をブロックチェーン基盤で構築し、水道や電気の利用開始を入居時に可能にするなど、さまざまな領域へと広がりをみせていくものとみる。
※掲載されている情報は、発表日現在の情報です。その後予告なしに変更されることがございますので、あらかじめご了承ください。
https://www.yano.co.jp/press-release/show/press_id/2914
調査要綱
1.調査期間: 2021年10月~2022年1月
2.調査対象: 国内のIT事業者、ブロックチェーン関連スタートアップ企業、ブロックチェーン活用企業・団体等
3.調査方法: 当社専門研究員による直接面談(オンライン含む)、電話・e-mailによるヒアリング、ならびに文献調査併用
4.発刊日:2022年01月28日
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