2019年05月15日 09:30

【矢野経済研究所 未来企画室「未来を数字に」プロジェクト調査報告】SNS(TwitterとFacebook)の価値をあれこれ比較、金銭換算では大よそ2倍の差 

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矢野経済研究所 未来企画室「未来を数字に」プロジェクトでは、利用者が多く代表的なSNSであるTwitterとFacebookについて、若者(首都圏、近畿圏在住の15歳から34歳男女1,744人)が感じている価値を調査、比較分析しました。今回、調査分析した価値は、(1)利用により充足するであろう価値の大きさ、(2)自らの心の豊かさにつながる価値観項目と(1)との関係から算出する心の豊かさへ直結する価値の大きさ、(3)そして金銭的な価値の大きさの3つです。

まずは「(1)利用により充足するであろう価値の大きさ」です。下図は、予め設定した20の価値観項目について、各SNS利用が、どの程度価値を満たすと感じるかを調査、集計し、スコア化したものです。
結果、全体的にTwitterもFacebookもほぼ同じような傾向を示していました。また比較的高い値を示していた項目から浮かび上がるキーワードは「つながっていたい」「変化、刺激を受けたい」「個性を主張したい、知って欲しい」などです。すなわち若者は、TwitterやFacebookを利用するとこれら欲求が満たされやすいと考えているようです。

SNSの性質を考えるとある意味当たり前ですが、反対に「人の上に立つ」「競争に勝つ」「エコ/地球にやさしい」などは低い値を示していました。さらに、TwitterとFacebookでやや異なる傾向もうかがえました。概ねですが、比較的値の高い価値観項目ではTwitterの方が、低い価値観項目ではFacebookの方が、やや高い値となっています。
(ただし統計的に明らかな差が認められたということではありませんので、その点ご注意ください。)

これらから見えてくることは、Twitterの方が、Facebookよりも各価値観項目への違いがハッキリ出ているということです。「これはそうだ」「これはそうでない」と価値観項目間でハッキリと違いをイメージしているということですね。
(反対にFacebookはTwitterと比較するとこれらが曖昧であるということです。)

もっと踏み込むと、Twitterはある種の利用イメージが明確、Facebookは割とファジーな感じでイメージされていると考えます。
次に「(2)自らの心の豊かさにつながる価値観項目と(1)との関係から算出した心の豊かさへ直結する価値の大きさ」です。こちらは、20の価値観項目がそれぞれの心の豊かさにどの程度重要かを確認、その重要度と(1)の利用による価値充足度から算出した独自の指標となります。これを後の金銭価値に対するものとして、今回、感情価値と称しました。
(現代風に言うなら「エモ値」とでも称すれば良いでしょうか・・・)

もっとわかりやすく言えば「財やサービス利用が、心の豊かさの向上/気持ちの高揚へ与える影響力」を表す独自指数となります。今回の算出メソッドでは、-1.0ptから3.0ptの間の値をとり、もちろん3.0ptに近くなるほど、心の豊かさにつながりやすくなります。

そしてこの感情価値の任意の値によってサンプルを以下のように4区分、それぞれの構成比を調べてみました。
1.ネガティブ層;否定的な感情を持って利用しているユーザー層
2.ニュートラル層;特別な感情をもたず何となく利用しているユーザー層
3.ポジティブ層;好意的な感情で利用しているユーザー層
4.ロイヤリティ層;特別な価値を抱いて利用しているユーザー層

結果、全体としてはTwitterもFacebookも、大半がニュートラル層とポジティブ層で占められており、ニュートラル層が約4分の3、ポジティブ層が約4分の1という構成も概ね同じでした。

ただし、これを性別×年齢区分別×居住地別によって細かく見ていくと、ややその傾向の違いも見えてきました。
すなわち、男性はTwitterよりもFacebook、女性はFacebookよりもTwitterでの感情価値が高い傾向にあり、Twitterは女性的、Facebookは男性的なSNSなのかもしれないということです。また参考までに、(こちらはある意味想定通りですが)15-19歳層の若いユーザーの方が高い傾向もみられました。
最後に「(3)金銭的な価値の大きさ」です。こちらは、先の(1)や(2)と異なり、TwitterとFacebookで大きな差がみられました。

その詳細の前に、ここでの金銭価値が何かを簡単に整理すると、「1年間利用を停止した場合の受取補償額」です。いわゆる仮想評価法(CVM法)によって算出される貨幣価値とお考えいただくとわかりやすいかもしれません。

さて、それではTwitterとFacebookでどの程度の差がみられたかと言えば、全体平均では2倍以上の開きがありました。
具体的にはTwitterが平均46,743円/年、Facebookが100,330円/年でした。

また、これを性別×年齢区分別によって見てる、30-34歳層は他の年齢層よりもTwitterとFacebookの金銭価値の差が大きくなっています。特に男性の差は大きく、大よそ4倍程度の開きがみられました。

ここからは推察となりますが、平均2倍以上の差がある理由としてFacebookは実名利用であり、Twitterと比較して、割とまじめな(現実に密着した)使い方をする傾向があるためと考えます。
■本調査の概要

調査対象;首都圏(埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県)、近畿圏(京都府、大阪府、兵庫県、奈良県)に在住の15歳~34歳の男女
調査件数;サンプリングサイズは1,744標本
調査方法;インターネット調査
調査実施時期;2019年3月25日~28日
調査発表日;2019年5月15日

■本件調査結果に関するお問い合わせ先

矢野経済研究所 未来企画室
Email :mirai@yano.co.jp
Twitter :https://twitter.com/futurevalue2
Facebook :https://www.facebook.com/futurevalue2/
note :https://note.mu/futurevalue

<未来企画室とは>

2012年、社長直轄の新規事業開発チームとして活動をスタート。
〝顧客の未来を創造する〟をコンセプトに、市場調査会社の枠を越えた新たなビジネス・ソリューションの開発に挑み続けています。
そして今春、『未来を数字に』をコンセプトに、新たなプロジェクトを始動。
今はまだ数値化されていない未来の価値や潜在価値などを、あれこれ数字で表現していきます。今回はそのプロジェクト内容の一部をお知らせするものです。
(その他結果は、上記のTwitterやFacebook、あるいはnoteアカウントで順次公開していますのでそちらもご覧ください。)

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